100年前、東北大学が受け入れた日本初の女子大生は「理系」だった。しかし「フィールズ賞」を男性が独占しているなど、世界的に理系分野では女性より男性の活躍が目立つ。いったい男女の能力はどこまで違うのだろうか--。
女は男より頭が悪いのか
13対1--。これは1983年にアメリカで行われた数学の学力調査で700点以上の高得点を獲得した13歳未満の子どもの男女の割合です。この結果だけをみれば「女子は数学が苦手なんだ」と感じるかもしれません。
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たしかに日本の大学生のうち、「理系」の学部に在籍している女子は約12%。また「数学のノーベル賞」とも呼ばれるフィールズ賞の歴代受賞者はすべて男性です。数学や物理の分野で活躍する女性が少ないことは事実です。
しかし、それが「女子は生まれつき数学が苦手」という結論を導き出すかといえば、違います。
冒頭に紹介した学力調査では、2005年の男女比は4対1となっています。約20年の間に数学における男女の学力差は大きく改善しているのです。
また日本の中学2年生にあたる「第8学年」への数学の国際調査(02~03年)では、アメリカの女子の平均点は502点で、男子は507点。日本の女子は569点で、男子は571点でした。両国とも女子より男子のほうがわずかに高いのですが、注目すべきなのは、日本の女子の点数が、アメリカの男子をはるかに上回っていることです。つまり先天的な性差よりも、環境や教育、時代背景など後天的な要素のもたらす影響のほうが、より大きいのです。
もちろん男性と女性に生物学的な違いはあります。ただし、それは「違い」であり、「優劣」といえるものではありません。
たとえば男女では脳の構造に違いがあります。米ペンシルベニア大学のルーベン・C・ガー教授とラクエル・E・ガー教授は、「3次元の空間迷路」を解くときに、女性が頭頂部や前頭部をより使用するのに対し、男性は海馬システムにより多く頼っているとの実験結果を明らかにしています。
これは「心的回転能力」が男女で違うことを裏付けるものです。心的回転能力は、紙上の2次元の展開図を3次元の形に組み立てるなどのテストで測ります。このテストでは女性より男性のほうがスコアが高い。
おそらく女性は物体の違いを意識的に処理しなければならないのに対し、男性は空間的・視覚的な手がかりをもとに自動的に処理することができるのでしょう。脳の構造が異なることで、ある問題の解答を導き出すプロセスが異なるのです。
また、男性は右脳で物事を捉え、女性は左脳で考える--そんな話を聞いたことがあるかもしれません。右脳は空間認知能力、非言語の情報処理、左脳は言語能力などを司っているとされます。女性は男性に比べて、左脳と右脳を結ぶ神経繊維の束である「脳梁」の後部が太い傾向があります。
メカニズムはまだ解明されていませんが、女性の言語能力の高さは、太い脳梁のおかげで、左右の脳の情報伝達がスムーズだから、という仮説があります。また女性のほうが長寿である理由について、脳が関係しているという説も唱えられています。女性のほうが脳血流が多く、それが脳細胞を活性化させているというのです。
さらに性差について興味深いポイントは、女性より男性のほうが個人差が大きいという傾向です。
4つのグラフは、英国の認知能力テスト(CAT)のスコア分布です。これをみると「言語的推理」の上位10%を除き、すべての試験において、男子のほうが上位と下位の人数が多いことがわかります。
これは学力テストに限ったことではありません。生物学的には、メスよりオスのほうが身体的なばらつきが大きい。ヒトにおいても、男性のほうが体重や身長のばらつきが大きいのです。グラフにしたときには、女性は平均値近くが盛り上がりますが、男性のグラフはよりなだらかな山を描きます
こうした傾向は、無意識のうちに、女性が数学や科学のキャリアを諦めることにつながっている恐れを示しています。
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